Reborn 甦る名刀展(佐野美術館)
早速行ってきた。
佐野美術館は平成28年末の刀剣展から毎年行くようになったけど、今までで一番混んでいたかなー。キャラのもとになった刀の展示が一番多いからっていうのもあるんだろうけど、室内の通路が狭くてちょっと見づらかったので時間をかけずサクッと回る程度に。
今回は焼身となった刀剣類の展示で損傷後そのままの刀剣類も結構あったのだけどその程度は様々で、錆の間から地鉄の銀が確認できるものから刀身が歪んで刀としてはもう死んでしまったと思えるものまであってなんとも言えない気持ちに。ただ、そんな状態であっても切っ先や茎尻・銘・大まかな姿なんかは結構綺麗に残っていたりするし、武器としての実用性や美術品としての価値がなくなってしまっても廃棄されなかったことにそれぞれ意味があったのだろうな…と思いを巡らせて楽しむことができた。
特に面白かったのは、東照宮の茎の押形集。押形集と言いつつ紙ではなく実際には標本のように実物の茎(もしかしたら茎の型とったものなのかな?)を並べたもので、綺麗に残った銘や茎尻のそれぞれ特徴ある形、目釘穴の数や刃区のふんばり等からわかる生ぶと磨上げの違い等々…普段は刀身に目を奪われて茎の鑑賞は後回しにしがちだけど、刀剣の魅力は刀身だけじゃないってことを改めて感じられた。
そして、一度価値を失った刀剣に再び命を吹き込む再刃技術の素晴らしさ!損傷の程度がある軽いと研ぎ直しだけで済むこともあるようで、一見相当にダメージを受けた刀でも研ぎ出すことで本来の美しさを再び取り戻せるってすごいし、そうやってもう一度命を吹き込もうとする人々の思いもひしひしと伝わってくる。刀が武器であり美術品であると同時に信仰の対象・心の拠り所であるということがよく分かる技術だと思う。
そういえば研ぎ直しの中に東照宮の一文字が含まれていて、焼けたときに浮かんでいた刃文は研磨によって映らなくなったとキャプションにあったのだけど、目を凝らすと本当にうっすらながら玉のような丁子文が一つ二つ確認出来たんだけどあれは目の錯覚だったのかな。
今回は美術品を見に行くというより歴史を見に行くような感じで、新鮮な気持ちで楽しむことができた。昔の人が大切に守ってきたものをこれからもずっと大切にしていきたいと思える、素敵なコンセプトの展覧会でした。
おまけ
ブイマロン、ラム酒のいい香りとクッキーの懐かしい甘さが美味しかった!
11月に行った美術展
・京のかたな展(京都国立博物館)
・マルセル・デュジャンと日本美術展(東京国立博物館)
かたな展は再訪、藤田展は東京で鑑賞済。
世間の仏像熱はまだまだ熱いようで会期末に行った醍醐寺展は大混雑!しかし、復興させた秀吉の功績と室内のあちこちに飾られた当時の桜の演出に胸が熱くなる展覧会だった。
快慶・定慶展では如意輪観音の横顔にうっとり、デュジャンは先入観があったけれど初期絵画作品は好きな感じ!便器の作品の意図がわかった今は、自身の美術との向き合い方を再考せざるを得ない気持ちになった。
ボナール展は実はいまいち響かず…ただ12月にいった三菱の企画ではボナールの作り出す多幸感を味わうことが出来たので、勿体ない鑑賞をしてしまったなと若干の後悔。
ここ最近は、美術を見るのがノルマのようになってしまって作品や作者とじっくり向き合うことが難しくなってきた…理解を深めるための読書も滞りがちなので、どこかでリセットが必要かな。
10月に行った美術展
・京のかたな展(京都国立博物館)
・諸国漫遊〜多彩なるお国拵と日本刀五箇伝を巡る旅(刀剣博物館)
・横山崋山展(東京ステーションギャラリー)
どれも楽しみにしていた展示!
かたな展は満喫したので別記事に。諸国漫遊は前後通して、国光の短刀と正恒の太刀が良かった!国光の詰み肌美しく強い個性を発揮する冠落としの姿、正恒の青江派らしさを放つ華やかな乱れ映りの美しさで幸せなひと時を過ごせました。
崋山展は「見ればわかる」その通りの技量の高さ!器用さと画力を備えた作品の幅の広さは、暁斎に続く人気絵師になりそうな雰囲気。個人的には墨絵の面白さを感じられる鍾馗・富士山が特に好きかな。
東山魁夷展は50を超えてぐっと画面が美しくなる東山魁夷の魅力が詰まった素晴らしい展示。夕闇に染まる街の幻想的な美しさ「晩鐘」が一番お気に入りだけど唐招提寺の襖絵の繊細な迫力も見応えたっぷり!山のけぶるような湿潤な空気の再現は時間を忘れて眺めてしまった。
行った館数は少ないけれど、濃密に楽しむことができた月でした。
京のかたな展(京都国立博物館)③クラブツーリズム貸切ツアー
後期一発目はクラブツーリズムの貸切ツアーから。
展示替えで、初見の石切丸・骨喰藤四郎他の鑑賞と山形でゆっくり見られなかった信濃藤四郎リベンジしてきた!
鑑賞会は午後なので、午前中は北野天満宮へ。
こっちはこっちで伝統文化とポップカルチャーのコラボ?をやっていたみたい。
鬼切丸の位置が正面どどーん!から奥になって、ついでに展示位置が下がったせいか写りが綺麗に見えるようになってたのが嬉しい。
で、午後は慌ただしく京博へ。
まず人気の担当学芸員さんの講演。これまでの講演の感想ツイ等でも見かけた他の分野に比べて日本刀研究が遅れているという現状、今回の企画展のあらましをざっくりと45分。新しい情報だと、宗近と長谷部を裏返して展示しますよとのこと。
鑑賞時間は2時間いかないくらいしかなくて非常に短かったのだけど、申込者が少なくて本当にじっくりゆっくり見られて良かった。後半なんかは室内どころかフロアで数人というレベルで妙にテンション上がってしまった笑
骨喰の物打ちあたりの刃文が非常に乱れて幅もそこだけやたらに広かったのだけど、あれは元々なのか焼け身だからなのか再刃の際にああなったのか気になるところ…信濃はやはり非常に美しく、石切丸もいかにも古刀らしい細身で反りのある美しい姿だった。
ほかに目を引いたのは、国俊の小太刀。詰み肌と直刃、細身の姿が美しくて行ったり来たりしながら何度も鑑賞。今まではあまりの混雑でゆっくり見られなかった吉光以外の粟田口と御番家事のところもしっかり見られたし、後回しにしてた新刀〜現代刀も見てひとまず展示室は全部見られたかな。この展覧会の告知後すぐの頃、酒井抱一の刀〜って情報をどこかで見た気がしていたけど、これについても抱一の兄の刀だということがわかってよかった。調べても全然出てこないから見間違いかと思ってた。
時間いっぱい鑑賞したあとは、はしたてで早めの夕食を取って帰路へ。
季節の生菓子が栗羊羹だったんだけど、これがすごく美味しかった!あっさりツルンとした羊羹に潰した栗が入ってるんだけど、甘露煮じゃなく茹で栗のほっくりした甘さでしつこくない。生姜麹も美味しかったし、次回お土産に買おうかな。
今回は日帰りかつ限られた時間での鑑賞だったけど、大満足の旅となりました。
京博はもう一度行く予定だけど目ぼしいものは一通り見られたので、最後はざっくり通し見で締めようかしら。
京のかたな展と京都旅(観光雑記)
紅葉はまだまだ先そうだけど、そのせいか他の観光客いなくてゆっくり散策してたくさんカメラ遊びもできた。
それから源光庵の血天井見て壮絶な戦を夢想したり庭を眺めて和んだり、常照寺散策したりして建勲神社さんへ。
台風で色々被害があったようで立ち入りできないようになってる箇所もあったけど早くもとに戻るといいなあ…と思いつつ、押形御朱印2種と限定御朱印帳をいただいてきた。
かたな展でも見てきたけど、福山の展示も楽しみ!以前行ったときに昼食で立ち寄ったお店がとても美味しかったのでまた行けるといいなあ…
そのあとは数年越しに念願のうめぞの茶房へ。京町家を改築したらしいこじんまりとした佇まいとレトロな雰囲気がとても素敵だった!しかも貸し切り!やったぜ!
注文は秋の氷と玉羹セット。
氷にははちみつとラベンダーのシロップ、その下に汁粉なんだけどこのシロップが香り華やかでとても美味しい!カカオの玉羹は味も香りもチョコなんだけど、チョコと違って後味はすっきりして食べやすいからもっと食べたくなっちゃうw今回は他所で和菓子を予約したから食べないけど、寒くなってきたら玉羹2つとお茶でもいいなー
しばらく休憩しているうちに予約時間が近づいたので、徒歩で北大路の嘯月さんへ。お任せで和菓子を四つお願いした。ええ、一人で四つ食べました。明らかに糖分過多ですwしかも夜にシュークリーム食べたしw
はえ〜かわいい…
栗きんとんは足が速いと言われたので、行儀悪いと思いながらそれだけ先にビブレで食べちゃったwこの栗きんとん1つじゃ足りないわバケツ一杯食べたい。どれもこれも美味しくて(しかも嬉しいことに粒あんで)ペロッと食べてしまった。4つで1900円なんでちょっと安い、お店の人の感じもいいし近くにあったら毎日1つ頼んでしまうと思う。特に栗の季節は。思い出したらまた食べたくなってきた…
そんなこんなで充実した時間を過ごし、いよいよ内覧会へ。
いやー量がおかしいねw実質1時間半の鑑賞でまともに見たの数えるほどしかない。とにかく量が多くて見きれない。翌日に5時間ほど滞在してなんとかざっくりは見られたけど、いいもの揃いなので何度も行きたくなる。
翌日は藤森神社さんで鶴丸国永の押形御朱印帳をいただき、その足で石清水八幡宮さんへ。目的はもちろん、麓にある朝日屋さんの鯖寿司です。
鯖寿司好きな私にとって関西は聖地みたいなもんw脂の乗った鯖が美味しかった…
最近はどこへ行くにも刀剣メインでゆっくり観光したりお茶したり…が疎かになりがちなので、久しぶりにゆっくりたっぷり美味しいものが食べられた気がする。にしても食べすぎだけど。
そして今秋はまだ京都に行く予定があるのでまた鯖寿司が食べられると思うと嬉しい。